教授挨拶

 金沢大学医薬保健研究域医学系 先鋭科学融合研究分野のホームページをご覧頂きありがとうございます。当研究室は2024年7月1日付けで新設された講座で、基礎医学研究を軸として多分野融合を推し進め、得られた研究成果を疾患の病態解明や予防、新しい治療法開発への応用研究に発展させることを目指しています。私は薬理学から出発して解剖学、神経科学、生化学などの研究と教育に携わってきました。多彩な学部・分野で得た経験を、異分野研究のさらなる融合と学類・大学院教育に活かしていきたいと思います。
 私の研究生活は細胞内小器官(オルガネラ)のひとつ、小胞体の機能解析から始まっています。その過程で小胞体に留まらず様々なオルガネラおよび細胞内構造体(核、ミトコンドリア、リソソーム、細胞膜)の機能にも着目してきました。単一のオルガネラの中では特異領域が形成され、各々の局所におけるシグナル感知と発信が集積してオルガネラ機能が発揮されます。一方で、膜で仕切られた独立した細胞内構造体という従来のオルガネラ像も変わりつつあり、オルガネラは空間的な独立性を保ちながらも情報を相互に受け渡しながら機能しています。当研究室ではオルガネラ局所の応答からオルガネラ間の機能連携を経て細胞・生体の機能制御に至る分子機構を解明するとともに、オルガネラ機能制御による疾患治療・創薬の基盤構築も目指します。
 研究室では基礎医学研究の楽しさと大切さを知ってもらい、同時に研究を通して社会人に求められる能力を身に付けてもらえるよう心掛けています。基礎研究は決して簡単で気楽なことばかりではありません。しかし一緒に考え、計画し、壁を乗り越えて成果につなげる感動を共有し、メンバー全員で研究者・社会人として成長していきたいと思います。そして一丸となって、研究成果を社会に還元していくことを目指します。
 新設されたばかりの講座です。ひとつの小さな研究成果が、当研究室の大きな柱となって引き継がれ、新しい疾患治療法確立の画期的な切り口になるかもしれません。情熱と意志をもった若い研究者や大学院生に是非扉を叩いて頂ければ光栄です。

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